今回は建物の中心(中央部)の扱い方について説明します。
方位といえば「八方位」と言われ、北・北東・東・東南・南・南西・西・北西の八種類を指しますが、実は、この八方位に「中央」を加えて「九方位」と考えるのが正しいのです。
「中央」とはまさに中心部のことで、一般的な住居などの建物では、建物の中心点から半径2メートルの範囲を指します。
小さな建物の場合では、半径1メートル程度として考えますが、いずれにしても、この中央部の扱いを家相学ではとても重視するのです。理由は簡単、この中央部にはそれぞれの方位のすべての要素が集約されているからです。
すべての方位は中心の一点から放射線状に広がっていくので、この中心点には、凶方位とされる鬼門方位から、ご家族の生まれ星である十二支方位、火気や水まわりを配置してはいけない北の子方位・乾方位・巽方位、また正中線や四隅線などがすべて集約されています。
もし、凶相の家を効率よく建てたいと思えば、ここを凶相にするだけで簡単に実現できてしまうのです。
家相学上、特に注してほしいのは次の4点です。
1. 火気や水まわりなどを配置しない。
ガスレンジなどの火気やトイレなどの水まわりを配置すると凶相になってしまいます。
以前はマンションなどの集合住宅に多くみられましたが、最近では戸建て住宅にも多く見受けられるようになりました。残念ながら、今後も増えそうな気配なので心配です。
2. 階段を設置しない。
中央階段の家相です。最近の家は気密性も高く、また、リビング階段の人気が高いのもあって、このケースも増えています。
階段は、建物の外周部に接した位置に設けて、必ず窓が取れるようにと、考えてほしいものです。3.吹き抜けをつくらない。
中央階段と同じく、吹き抜けも凶相です。
吹き抜けは立体的な欠けの要素が強く、家相とは相性がよくありません。
もし、間取りに吹き抜けを取り入れたいときには、建物の中心部を避けてください。
特に小さな建物に吹きぬけをとる場合は、要注意です。4. 中庭を設けない。
中庭を設けてしまうと、建物の中央部がそっくりなくなってしまい、まさに、中心のない、大凶相の家になってしまいます。
これは絶対に避けてほしいと思います。ここで実例を一つ紹介します。
関西に本社を置く建築会社の常務取締役の方が、私の事務所まで相談に訪れました。
業績も好調で、まず、社長の自宅を新築し、続けて本社ビルも新築したところ、社長と跡取りの専務が続けて病に倒れてしまったそうです。
おかしいと思った社長自身が家相を気にされましたが、本人は入院中なので代理として常務を上京させたとのことでした。
持参された図面などを調べてみると、自宅の中央部には階段が設置された中央階段の大凶相、本社ビルの中央部にもトイレが設置されていました。
建物の中央部は人間の体でいえば背骨にあたり、家族では一家の主、会社では社長の方位と考えるので、家相の影響は重要な人ほど出やすくなります。
病気なら命に係わる重病、事故や怪我でも影響は甚大で、本当に大変なことになりかねません。
このケースでは、自宅と本社ビルの凶相が重なったことが大きく影響しましたが、まずは、社長と専務の命を取り留めてもらうこと最優先にアドバイスしました。
だれであっても凶相の影響を避けてほしいのですが、家族や社員を支える立場の人には、特に、家相を転ばぬ先の杖として活用してほしいと思います。