「張り」は吉相、そして「欠け」は凶相
家相学上は、家の間取りだけではなく、家の構えも重要です。構えというのは、簡単に言うと家の形のこと。基本的にはできるだけ凸凹がない方がよく、シンプルな長方形などが理想的です。
家を器として考えると、形の悪い家は不安定ということになり、良い気が集まらないと考えられているのです。そして、凸のことを「張り」、凹のことを「欠け」と呼びます。
基本的に張りは吉相ですが、欠けは凶相となります。張りとは、建物の一辺に対して三分の一までの出っ張りのことを指します。
一辺が12メートルなら、その三分の一の4メートルまでは吉相の張りです。ただし、4メートルを超えてしまうと凶相になってしまいます。また、張りを設けてよいのは、一辺に対して一カ所だけなので、二つの出っ張りがある場合には、それだけで凶相になるということです。
また「欠け」とは、一辺の長さの三分の二以上の引っ込みのことを指します。要するに、吉相の張り以外はすべて凶相の欠けになる。こう単純に覚えてください。この欠けが一辺に対して二つあれば「二段欠け」、三つあるものを「三段欠け」と言い、欠けが増えるほど凶相の度合いが増していきます。
張りや欠けを考えるうえで、もっとも注意したい方位が、北東の表鬼門と南西の裏鬼門方位です。鬼門方位に欠けを設けてしまうのは、もちろん大凶相。金銭的なトラブルや対人関係のもめ事など起こさないためにも、小さな欠けも絶対に設けてはいけません。
また、鬼門方位には張りも設けることはできません。鬼門以外の方位では張りは吉相ですが、鬼門方位は違います。
鬼門は、張りも欠けも設けることができないと、しっかり理解してください。
水まわり・火気・玄関の位置が吉凶を左右する
家の吉凶を判断するにあたり、重要な要素を占めるのが「不浄物」を配置する方位です。
「不浄物」とは、基本的に火気と水まわりのことで、具台的にはキッチンのガスレンジや浴室の給湯器、浴室・トイレ・浄化槽などを指します。
この不浄物の配置が悪いと、家族が健康を害したり、悪い影響が出るとされています。
このため、吉相の家を建てるためには、この不浄物の配置こそが最も重要となるのです。かつては、火気も水まわりも同じ程度危険なものとして考えられていました。
しかし、現代では住宅設備の進歩によりトイレや浴槽、キッチンのシンクなどの衛生面が格段に改善されたため、水まわりの危険度は下がっています。
これに対し、火気は人間の精神状態に影響を与えると言われています。ストレス社会と言われる現代では、精神的に追い詰められ、健康を損なってしまうケースも少なくありません。そういう意味では、火気の危険度は水まわりよりも高いと言えるでしょう。
ところで、流派によっては、水を使うものすべてを不浄物としてしまう考えもあります。家の中では、洗面台や洗濯機、冷蔵庫にシャワールーム、エアコンも含める場合もあるようです。家の外にある立水栓やボックス水栓から雨水管まで全部不浄物なら人の住めない家になってしまいそうです。
確かに、水は滞ることから腐敗するので、水を使うところはすべて清潔にはしてほしいのですが、だからと言ってすべて不浄物ではありません。この点もしっかりと覚えてほしいポイントです。
そして、北東の45度を表鬼門、南西の45度を裏鬼門と言い、凶相の方位であり、基本的にはこの鬼門方位に火気や水まわりを配置しないことが家づくりの基本となります。
同じく大事なのが、家の顔ともいえる玄関の位置です。玄関の配置は吉相の家づくりでも最も大切な工程の一つと言えます。
玄関の方位や位置によって、家の動線が決まってしまうので、慎重に考えなければいけません。家相学上、玄関の範囲は土間である三和土(タタキ)の部分を指します。
基本的には、この部分と玄関扉の方位で吉凶を判断します。
玄関を配置するうえで最も注意したいのは、建物の中止からみて北東の表鬼門と南西の裏鬼門を避けること。
また、家族の十二支方位も避ける必要があります。
家族一人一人の方位は十二支方位と言います。この方位は、個人の運勢に強い影響を及ぼすので、火気や水まわりは、この十二支方位も避けなければいけません。
このため、北東と南西の鬼門に加えて、家族の十二支方位を観る「二十四山方位盤」も併せて使用することになります。
車庫・基礎
車は不浄物、ビルトイン車庫は避ける。
車は排気ガスを出して空気を汚すため不浄物として扱います。そのため、車を収める車庫にも十分な配慮が必要になります。
基本的には、車庫と建物の間隔をできるだけ離します。最低でも2m以上はほしいです。また、家から見て表鬼門にあたる北東、裏鬼門にあたる南西に車庫を配置するのは凶相になります。
車庫にはさまざまなタイプがありますが、もっとも避けたいのは、建物の一部を車庫として使うビルトインタイプ。これは方位にかかわらず大凶相になります。
特に、この車庫の上部を子供室として使用するのが最も危険なので、絶対に避けてほしいと思います。
反対に、もっとも無難とされるのが土地の傾斜を利用して、建物の下を削って車庫として使う埋め込みタイプ。車庫と建物の間に土があるならさらに無難で、車庫の凶意の心配はありません。
門扉の外に車庫を配置できるときは、自宅の建物と車庫を別の敷地として仕切る効果があるため、車庫が鬼門方位にあたってもマイナスを軽減することが可能で、これも無難とされています。
基礎は建物の基本。地盤とともに重視しよう
建物の礎となる基礎も、吉相の家づくりでは重要な要素の一つ。現在の建築基準法では難しくなっていますが、長らく建物の床下にコンクリートを流し込まず、土地が呼吸できる構造を保つ布基礎が良いとされてきました。
現在主流の工法は、建物の床下一面をコンクリートで覆うべた基礎ですが、構造に支障がなく、施工会社の保証の範囲内で、土地の息抜き穴を設けることをおすすめします。
居室一室に対して1m×1mの息抜き穴があけられると最良ですが、50㌢×50㌢の穴を2個にするなど、施工会社と事前に相談してほしいと思います。 地盤も同様に、不同沈下が起こらないような、軟弱ではない地盤であることが大切です。 恵まれた地盤の上に、土地の呼吸を祖またげない基礎を築くことが、吉相の家のための理想と言えます。
玄関
玄関!そもそも「欠け」の要素あり、「張り」を意識すべし!
「方位は東南巽にこだわらず、鬼門と家族の十二支方位を避けるのが基本」
玄関は「家の顔」と例えられ、パワーある方角「東南巽方位」が最良と昔から言われていました。ただ、玄関が良いだけで、家がよくなるわけではない、という考え方が主流です。
たとえば、南間口の狭い土地で、東南巽の玄関を作った場合、南を向いた部屋が作れなくなります。
しかし、東側に玄関を持っていけば、南側には全面的に部屋が作れます。
また、北側が道路に面した土地の場合、無理に東南に玄関を作ってしまうと、リビングが北向きになり、目の前が道路となって、なんだか落ち着かないリビングになってしまいます。この場合には、北側に玄関を作ると、南側には全面的に部屋が作れます。
つまり、玄関は東の玄関でも、北の玄関でも良いということです。家の中心から観て北東の表鬼門と南西の裏鬼門、家族の十二支方位を避ければよいのです。
玄関の位置を良くするがために、家全体の採光や通風が悪くなってしまうのは本末転倒なので、敷地と道路との関係で最適な場所を選びましょう。
リビング

人が集まるリビングは採光に最もこだわるべき部屋。人がたくさん集まるということは、その人たちがエネルギーをもらえる部屋であるべきです。
昔は、玄関は鬼門から避け、トイレ、お風呂、階段はすべて東南方位に集中させてしまい、結果的にあまったところにリビングを置くということもありました。
しかし、それはだめです。人間にとって一番大切なものは陽の光です。リビングこそは南側の一番陽のあたる場所に持っていくのが吉。
玄関やトイレ、浴室や階段などのすべてを東南方位に集中させては、家相は良くても、陽があたらないつまらない家になってしまいます。
もし、1階ではあまり陽があたらないのであれば、当然、2階・3階など、陽のあたる階にリビングを配置してください。
寝室

たとえば、家族定位の場合は、一家の主は北西、妻は南西、長男は東、長女は東南というように、方位の役割によって方位が決まっています。
寝室を決める場合は、これらのどの方位を用いても大丈夫です。 子年生まれのお父さんなら、もし北西に部屋が取れないときには、お父さんの十二支の子年の方位、つまり北の部屋でもいいわけです。
子ども部屋
採光や通風がポイント 東側や南側の部屋がベスト
子ども部屋については、子どもの成長を考え、 気持ちよい睡眠が取れる環境を整えることを第一に考えてください。
そのためには、採光と通風がポイントになるので、 家の東側や南側に配置することが適切です。
以前は、南方位に子ども部屋を配置すると、子どもにとって凶相だといわれていましたが、凶相を避けても住みにくい部屋にしては本末転倒です。採光や通風に恵まれることは、子どもたちの成長に欠かせないことなので、 日当たりの良い東方位や南方位に配置してください。
勉強机の方位にも家相学上の決まりがあり、 勉強に集中できるのは北を向いて勉強机に向かうことです。位置的に北を向くことが難しい場合には、東を向いて勉強机に向かうようにしてください。
逆に、勉強に集中できない方位は、西向きや南向きといわれています。
また、窓に向かって勉強机を置くと、外の様子が気になり勉強に集中できない場合も多いので、 勉強机の配置を決めるときには、窓の位置も考慮するようにしましょう。
不浄物のトイレは 通風、採光、方位に注意して
家の中央部のトイレは最も危険
トイレの位置は、水まわりの中で最も重要です。トイレの方位が凶相だったために体調を崩してしまうなど、健康に関わるので注意が必要です。
トイレを配置してはいけない凶方位は、北東の表鬼門と南西の裏鬼門方位、東南の巽方位と北西の乾方位、北の子方位、その家に住んでいる家族の十二支方位です。たとえば、北や北東にあるトイレは、家の中で最も寒い場所となります。
逆に、裏鬼門の南西のトイレは、 西日が差し込み暑くなり臭いもこもりがちになるので、やはり凶相です。
最も危険なトイレは、家の中央部に配置することです。すべての方位の源である中央部を犯すことになるので、 大きな凶意を生み出すことになってしまうからです。マンションや木造住宅でも2階部分に多く見られるので、しっかりと注意してください。
そして、トイレにはなんといっても窓が必要です。
窓のない方位は、どの方位にあっても凶相と思ってください。窓が無いということは、悪い気がたまりやすく、通気や採光の点でもマイナス要因です。ただでさえ、水まわり火気は不浄物となるので、更なるマイナス要因を重ねないように、換気と採光には気をつけるようにしてください。
また、設計時には、トイレの汚水管は、最短距離で家の外に出すようにしましょう。キッチンや浴室の雑排水よりもトイレの汚水のほうが影響しやすいので、注意が必要です。トイレの汚水管は、最短で家の外に出し、玄関と門扉の間を横切らせないこと。家に入る際には、汚水管の上をまたいで入らないようにするのも大切なポイントです。
鬼門と十二支方位 巽、乾、子方位も避ける浴室
凶相でも浴槽の向きを変えるだけで無難になる
お風呂の湯を沸かすために、室内に火気がある内釜タイプが多かった時代は、火気と水まわりという二つの危険要因を兼ね備えていたので、 浴室は凶相の影響を大きく受けていました。加えて、お風呂の残り湯に足し湯をする使い方は、 更に凶相の影響が大きくさせるものでもありました。
ところが、最近では、室外の給湯器を利用するユニットバスが主流になったこと、また、浴室内に湿気がこもらないように工夫されていることもあり、 以前ほどの凶相の影響はなくなっています。
とはいえ、浴室は家の中で最も多くの水を使う場所であることに変わりはありません。やはり、方位には十分注意する必要があります。
家の中心から北東の表鬼門と南西の裏鬼門方位、 東南の巽方位と北西の乾方位、北の子方位、 その家の家族の十二支方位は、 浴室を配置する場所としては凶相となるため避けなければいけません。
ただし、この凶相は浴室全体ではなく、浴槽の位置で判断します。浴槽の位置で吉凶を判断するので、 浴槽の向きを横から縦に変えるなど、 比較的簡単に凶相を無難にすることも出来ます。
また、凶相となるスペースが、 浴槽全体の三分の一程度におさまるようなら、問題ないと思ってください。流して湿気がこもらないようにする
なぜ、浴室やトイレなどの水まわりが凶相になるのか... 水は滞ると腐敗する性質があるからです。つまり、腐敗した水は室内の気を悪くしてしまうので、 結果的に家族の健康運に大きく影響します。それを防ぐためにも、 お風呂に残った浴槽のお湯はすぐに流して、湿気がこもらないようにしてください。いくら浴室や浴槽が無難な方位でも、浴槽にお湯が長時間溜まったままで、 常に湿気がこもっている状態では無難な家相とは言えません。もちろん、浴室には必ず、窓を設置してください。洗面脱衣室にも窓を設け、あわせて換気扇も設置するようにしましょう。洗面脱衣室に吉凶はありませんが、 湿気がこもらないように注意することはとても大切です。もし、設計上、窓の設置が難しいようであれば、 洗面脱衣室の扉を出来るだけ開けっ放しにするなど、工夫も必要です。
火や水の配置に注意 キッチン

特に火気は、家相に及ぼす影響がとても大きいため、十分な注意が必要です。火気を配置していけない危険な方位は、北東の表鬼門と南西の裏鬼門方位、東南の巽方位と北西の乾方位、北の子方位があげられます。加えて、家族全員の十二支方位も避けてください。
また、同じ火気でも、ガスレンジとIHヒーターでは危険度が異なります。もし、危険な方位に火気を配置せざるを得ない時には、IHヒーターに切り替えなどの工夫も必要です。
シンクについては、方位にかかわらず、清浄に使用することが無難につながると考えてください。ただし、配管には要注意。建物の下を排水管が通ることは凶相なので、最短距離で建物の外に出すようにしてください。
また、火気、シンクともに、家の中央部に配置してしまうと凶相になります。家の中心点から半径2メートルの範囲には、火気もシンクも配置しないように心掛けてください。
階段 建物の中央部の階段は大凶相になる
家の中央は、人間のからだでいえば背骨にあたる位置。中央を階段にしてしまうと、背骨のないからだのような状態になり、あらゆる運気が悪くなってしまいます。建物の中心から半径2メートル以内、家が狭くて難しい場合には、 最低でも建物の中心から半径1メートル以内に階段を配置するのは避けましょう。
中央を避ければ、基本的に階段はどの方位に配置しても大丈夫。 おすすめは北東の鬼門方位です。 北東は日当たりが悪く、鬼門なので水まわりや玄関を配置することができません。このスペースを階段にしてしまい、他の方位を玄関や水まわりにあてたほうが、 吉相の家づくりがしやすくなります。
また、階段下のスペースにトイレを設置する場合には、 鬼門や家族の十二支方位など、凶相方位を避ければ問題ありません。 階段下だから凶相になるわけではないので、誤解のないようにしてください。
駐車スペース
家相学上、車は排気ガスを出す不浄物として扱われます。 そのため、駐車場の位置にも気を配ってほしいと思います。最も避けたいのが、建物の一部を車庫として利用するビルトインタイプ。これは方位にかかわらず凶相になります。
特に、車庫の2階部分に子供部屋を設けてしまうと大凶相になるので、絶対に避けてください。また、車は不浄物なので、鬼門方位に車庫を作ることも、当然、凶相になります。
最も無難な車庫とされているのは、敷地の傾斜を利用して、地下部分に車庫を埋め込んだタイプ。建物と車庫の間に土があることが望ましいのですが、車庫の上に建物の基礎を直接連結させてもかまいません。注意したいのは車庫の大きさです。建物の一階の面積に対して、三分の一程度の大きさに収めることが良いでしょう。
また、門扉の外に車庫を配置することができれば、車庫と建物をそれぞれ別の敷地に建っていると考えることができ、 マイナスの気を軽減することができます。車庫と建物との距離は、最低でも2m以上離すのが目安です。
