「家相を取り入れた間取りは、使い勝手が悪い家だ」という、間違った考え方が建築業界にはありますが、これはとても残念なことです。
●家相が良い間取りのポイントは、次の点になります。
・家の構えが(形)が凸凹と変形してないこと。
・玄関が鬼門方位やその家に住む家族の十二支方位を避けていること
・ガスレンジや給湯器などの火気が、鬼門や十二支方位などを避けて無難であること
・トイレや浴室も火気と同じく無難な方位に配置されていること
・家の中心部に階段や大きな吹き抜けがないこと
家相によってプランの制約を受けるのは当然ですが、必ずしも使い勝手が悪いと言い切るのは、建築業界の勝手な思い込みのケースが多々あります。例えば、下図のようにコンロとシンクと逆に配置したり、トイレの中の手洗いを独立して範囲を狭めることだけでも、無難な家相になります。大事なことは、正しく家相の知識を理解し、建築的な工夫をすれば自由度は広がりますし、ゼロか100という考えではなく、いかに凶相を減らすかという事が大事です。
また本来、家相とは人が幸せになるための大切な知恵なので、家相だけ良ければといったものではありません。家相のかなり無難な良い間取りを作ることが目的ではなく、家相を活用して、採光や通風、使い勝手もデザインも素敵な家を作ることが目的だからです。
家相が良い間取りは、家相の影響から起こる災いが起きません。これはとても大切なことですが、それだけです。家相は良くても、日当たりや風通しが悪く、使い勝手が最悪な家では幸せにはなれません。家相の良い間取りの家を作るのではなく、家相を活用して採光や通風、使い勝手の良い間取りを目指してほしいと思います。そのためにも、家相の知識と建築の知識を融合した家づくりを考えましょう。
●良い家相とは、間取りだけの概念ではなく、地相も大切
地相とは、もちろん、土地の吉凶を指しますが、それだけではありません。
・周囲にどんな建物が建っているのか?
・どの方位から気持ち良い風が吹いてくるのか?
・どの方位を眺めて暮らしたいのか?
・敷地の高低がどうなっているのか?
その土地の持つエネルギーと周辺環境にあった家相の間取りであれば最良です。
本来、建築設計に携わるのであれば、現地調査は欠かせません。家を建てる土地のことが分からず、良い家なんて設計できないからです。私も、家相監理で関わる場合には、必ず現地調査をしています。「こんな所に、なんでこんな家が?」と思われるのは避けてほしいと思います。